今週のサンデー12号

・最後のクロスゲーム最終回160話「世界中で一番」


最終回は日に日に新聞でのコウの取り上げられ方が凄くなっている!と喜びながらファイリングする紅葉に、「本番はこれからよ」とコウの更なる飛躍を信じている一葉。
甲子園行きの荷づくりがはかどらない青葉、荷物に大事に納められる若葉の写真。という月島家四姉妹の日常的シーンからオープニング。

ちなみに水輝の部屋のドアには「さがさないでください」と旅立った旨のメモが張られており、一葉が苦笑している。
(地区予選決勝〜甲子園入りという事は、先週号から数日はたっていると思っていいだろう。青葉の日記を見て否が応でも真意を悟ったのか、先週の抱擁-号泣シーンの事を誰かから聞きでもしたのか、数日の間にコウと青葉の「宣言」らしき事でもあったのか…色々と予想できるが傷心の原因はハッキリとは描かれない)

甲子園へ向けて出発の朝、姉妹と父、そして「いやあ式場くらいはきめとこうと思ってさ」と朝から打ち合わせに来たという将来の義兄も加えた皆から見送られ旅立つ青葉。
集合は駅で、ということで待ち合わせ場所らしい喫茶店(アマダコーヒーとかいう名前)に着いたものの、そこにはコウしかいなかった。ほかの皆(赤石たち)はあかねの見舞に寄ってから来るという(コウは既に見舞はしていたので行かなかったらしい)
二人っきりだが甘い雰囲気にはならず(笑)
「アンタ」「アンタとは何だ!」「ご心配なく皆の前では敬いますから、樹多村セ・ン・パ・イ★」「てめえ〜」と、いつもの如くな犬猿のやりとり
だが喫茶店のマスターは微笑ましい顔で見つめている。(なんとなく意味深)

その頃病院では、病室手前の廊下で「みんな」の内2人が、「「お前から渡せよ」」「そ、そうか?」としり込みする赤石に花を渡す役割を指名していた。
病室に入ると、そこには順調に回復している元気そうなあかねが。
緊張しつつ「みんなが甲子園行く前にあかねちゃんの顔を見ていこうって言うもんだから!」と言い訳がましいというか、他人のせいにするという逃げ道を用意しつつ及び腰のアイサツをする赤石。

あかね「みんな?」
赤石「え。…あれ?(振り向くと誰もいない)」

既に「みんな」の内二人・中西と東は気を利かせてというか、イマイチ押しが弱い赤石の退路を断って病院を後にしていた(笑)
中西は、コウの事といい赤石の事といい、男友達ばかり大事にしているとそのうち東の周りにはかわいい女の子はいなくなっちまうぞ?と、からかいつつも東を気遣う発言を。さすがリア充は言う事が違う。

東「心配すんな。そんなにはいねえよ、大事にしたい男友達はな」

つまり彼らは特別だという事だ。(東は本当にいいヤツ…)
そんな友情に厚い東はやはり中西から見ても相当のいい男で「ま、お前なら追い込まれても、狙い打ちできるんだろうけどな」と東の明るい将来を信じて疑わず、中西は微笑んで見せるのだった。



以降。ここから……ラストまでのシーンは、余韻がすごいというか雰囲気あるのでそうとう端折る。
(なんかこう、この雰囲気は文字にするとなんか野暮ったくなる気がするので)

その後は、喫茶店でいつものようにのらりくらり、丁々発止、そんな青葉とコウのやり取りが続く。
中でもさんざんWEB上で取りざたされた「あかねの存在意義」にも触れつつコウと青葉があかねちゃんを語る、というのは中々意外だった。
それとまあボカしてはいたが、あかねがコウと青葉の仲を応援するというか発破かけるような会話を個々にしていたらしい描写も見受けられる。


一見普段通りのコウと青葉だが、今までとは少し違うコウと青葉がこのラストでは描かれる。
(ホンのわずかな間だがデレの入ってる稀有な青葉のコマも)

青葉が「事実を受け入れた」ことが原因か、コウも今までのように「わかってる」と青葉の心情を察して設けてきた『距離』を、より一歩踏み出して来ている。
明らかに勝戦前とは変わった距離の、コウと青葉
受け入れた事実を噛みしめる青葉。

見富士台駅のホーム。二人で並んで電車を待つ。
(ラストシーン)



アニメのCMで流れている「あの日止まった時間が動き出す」というキャッチ。
あれを借りると若葉を亡くして中々進まなかったコウと青葉間の時計を再び回すきっかけになったのが、時に若葉そのもののような口調でアドバイスをするあかねちゃん、という解釈でこの作品的にはいいのかもしれない。喫茶店でコウと青葉の会話からすると。
あかねちゃんのファン的には評価が分かれそうな、というかあかねちゃん個人としてこの扱われ方はいいのか?個人の尊厳は??とか問題になるような気もするが(苦笑)…これはあくまでもコウと青葉二人にとっての解釈ということで。
赤石はおいといて、東とか千田にしてみれば去年知り合ったばかりの可愛い女の子な訳だし。

それにしても最終回でも際立った東は、本っっ当にいい奴だ(涙)
『兄の選手生命を自分が絶った』『兄の人生を狂わせた』という重い十字架を背負った東。ただただ兄の「代わり」に甲子園に行こうと何もかも犠牲にし、野球を「手段」としていた少年・東が、星秀に来てコウ達や月島姉妹に出会い友情を厚くし、野球を楽しみ、兄に本当の明るさが戻っ……という大きなテーマを抱えていた身からすれば、この上更に三角関係だの何だの恋愛戦線にまで本格参入するのはオーバースペックだったんだろう(笑)
友情>>>恋愛 という青春があったっていいさ。主要女子キャラがとにかく少なかったから仕方がないとも言える。
メインはコウや青葉や若葉やあかねちゃんなので東救済にまではページを割り振らなかったかもしれないが、普通のあだち漫画だったらお似合いの可愛い子とのフラグをほのめかすくらいはあったに違いない。(苦笑)
あだち先生の事なので続編も後日談もやらないだろうが、中西の言ったとおりきっと「狙い打ち」するに違いない(あと2,3年すれば紅葉も射程範囲になると思うが…いやまさかそんな)

個人的に、オープニングの月島家玄関先での見送りシーンも何か感慨深い。東兄のが、「新しい家族」という形で月島家の顔ぶれに加わっているという点だ。若葉を亡くしたあと大きな変化の無かった月島家が、この後変化するという未来を演出しているようで…。
5年に渡る応援感謝、とハシラに。
…5年か…休載挟みつつだからか、もっと短かったような感覚が…。
5年前、最初の1巻からヒロインと思っていた女の子が事故死し、その喪失を抱えたまま成長する残された者たちというスタートにとにかく驚かされた。
喪失と再生。
身内が死ぬとか野球とか、作者のタッチのセルフリメイクか?と前のめりになり離れて久しかったサンデーを立ち読み、終盤はとうとう買い続けてしまった(苦笑)とうとう最終回になり…なんか残念なような、もっと見続けたかったというか、いやいや個々の問題にもオチのついたキレイな締めじゃないか、もう少しあと少しというあたりが一番いいとも言うし……となかなか感想がまとまらないのが正直な処(苦笑)支離滅裂なところもある気がするけれどもまあ、青春全開な最終回だったんじゃないかとアマダコーヒーのマスターのように微笑んでいたり。

最終17巻は4月発売。おお、間をおかないな(TVと合わせたりするんだろうか?)


アニメもクライマックス間近のようだし、連載は終了したけれども4月までは余韻を楽しもう。